
お嬢様♡レッスン
第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情
今頃、彼女は愛する男の腕の中で甘い夢を見て居るのかも知れない。
ひょっとしたら、チョコレートよりも甘い声を上げながら溶けているのかも知れない……。
高月は、朝一番に渡されたチョコレートを一つ摘まむと、それを舌の上で転がしながら、ゆっくりと溶かしていった。
高月好みのビターで濃厚なカカオの味が口の中に広がる。
彼の本気の恋は、このチョコレートのように、時に甘くそして苦い結果に終わったけれど。
綾芽がチョコレートを自分にくれなかった。それが彼女の答えであり、優しさなのだ。
きっと、彼女からそれを貰えば、自分はまた彼女に依存する。希望などないのに、固執してしまう。
高月はそう思いながら、また一口、苦いチョコレートを口の中へ含んだ。
~*Finis*~
2016.02.13.
