
お嬢様♡レッスン
第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情
「そこなんだよなぁ……。どんなに多くのチョコレートや気持を贈られたとしても、欲しいのはたった一人の"気持ち"で、それに固執している俺達は、まだ前に進めていないって事なんだよな」
来年こそは前に進みたい。
来年こそは愛し愛される女性と共に過ごせる事を願い、そして高月にもそういう女性が現れる事を祈って、彼等は乾杯をする。
「多分、綾芽ちゃんは俺達にチョコを渡したら、俺達が前に進めないって思ったんだろうな」
ぽつりと黒崎が零す。彼の言葉に速水が同意した。
「そうかもね。俺達は綾芽ちゃんに"好きだ"って言った事あるけど、広夢と莉玖の気持ちは気付いてないっぽいもんね」
「えっ!? 広夢もお嬢様の事、好きだったのか?」
「巽、気付いてなかったのかよ……。お前が一番一緒に居るくせに」
「う……。ゴメン……。俺、まだまだ修行が足りないよな……」
「いいんですよ。気付かれないようにしていたんですから」
そう言って柳瀬は、白河のグラスにワインを注ぐ。
「今日は男同士でとことん飲もうぜ!」
「いや、明日仕事だろ……」
「そうでした……」
笑い声の堪えない賑やかな宴は、結局朝まで続く。
