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未知夢

第8章 時間

 10年前、気晴らしに何気なく見つけた人けのないビル。


 上まで上がって見たら、結構見晴らしのいい場所だった。


 不法侵入だとはわかっていたが、この場所は自分の心の安らぎの場所だった。


「て、見付かったらヤバいじゃねえか!! あの当時、よく見付からなかったもんだ」


 繁は立ち上がった。


「なんでまたこんな所に……さっき、綾ちゃんの……」


 そう言いかけた時、ハッとした。


 咄嗟に高円寺綾のいたマンションを探した。


「いた……」


 高円寺綾はマンションの屋上に立っていた。


「次は……さっきのようには行かない!」


 繁は慌てて屋上から下りていく。


 エレベーターは来ないか?


 ボタンを押すと、すぐに上がってきた。


 扉が開きエレベーターに乗り込むと、すぐに1階を押した。



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