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未知夢

第8章 時間

 沈む様にエレベーターは1階に下りる。


『ポーン』


 エレベーターの、ドアが開いた。


「んぐっ!!」


 繁は固まった。


 目の前には、数人の怖そうな男達が立ち塞がる。


(ヤバい……)と、思った。


 こんな時は、自然にやり過ごすしかない。


「あ、すいません失礼しま……」


「ちょっと止まれ」


 呼び止められた。


「はいぃぃ……」


 声は裏返るし、振り向けなかった。


「あんた、うちのビルにいてるんか?」


 一際体がでかく厳つい男がそう言うと『ゴクリ』と、音が鳴った。


 繁の頭の中は所々真っ白になり、言葉が出てこない。


「いや、あ、この、気が、いなぜか……」


 自分でもなにを言っているのか、わからない。


「こっち向いてハッキリもの言えやっ!!」


 荒く太い声が響き渡る。いくつもの怖い眼光が、こっちに向いているのがわかる。



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