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未知夢

第8章 時間

「もう少し早かったら……もう少し早かったら……」


 頭が割れ、ドクドクと血溜まりが広がり、白いワンピースが少しずつ真っ赤に染まっていく。虚ろな目で天を見つめるその表情から、何かを訴えてるようにも見えた。


 やっと本人に会えたと思えば、すでに変わり果てた姿で会う形となってしまった。


 やり直せるなら、もう一度……彼女を救いたい。


 10年前、心を寄せていたアイドルの突然の死にショックを受け、しばらく食事も喉を通らなかったあの頃……。


 場所は実家から1キロほどの距離にあるマンション。


 当時、その場にいて、わかっていたなら救いに行けたのにと、何度も思った。


 いま、やり直せるチャンスだった。それが叶っていた。早く気が付いていれば、救いに行けたはず……。


 チャンスをくれ……夢でもいい……目の前で倒れる彼女に再び笑顔を戻してやりたい。




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