テキストサイズ

未知夢

第8章 時間

 そのビルにかけられた看板を見て、繁は身震いをした。


「大阪悪駄組」


 そこは暴力団のビルだった。


「えっ! ここ、そうだったの!! たしか、のちに貸しビルになるはず……て、見てる場合じゃない!!」


 繁は再び走り出した。


 上からだと近く感じたが、地に下りてくるとやたらと遠い。


 だが、こうしてるうちにも、恐れていたことが再び起きてしまう。


「これが夢なら……大きくジャンプしてあのマンションに到着するんだが……」


 実際にやってみたがまったく飛べず、見た目が不格好なスキップになった。


「くそ……てか、まだ間に合わないのか? こんなに遠かったか?」


 いくら地元でも、あまり来た事がない場所はまったくの無知だった。


 何度も近道を試みたが変な路地に入ったり、行き止まりに入ったりと、まったく先に進めない。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ