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未知夢

第15章 隠人

 まあ、双子じゃないんだけど。


 だが、ここに思いもよらないことがおきた。


 中にいる私が『おおもりーーーっ』と叫びだした。

 大森が振り返る。


『大森、てめえ、本当は気に入らないんだよ! ずっと気に入ら無かったんだ。殺してやるよ……殺してやる』


 なにを言い出すんだ急に!


 酔っ払った勢いで言うにしろ、殺してやるなんざ言い過ぎだろ。


『おい、竜崎、なんだよ。なんだよ急に!』


 私は思った。やっぱり犯人は私自身だったのかも?


 私はどこかで大森のことが嫌いだった。同じ女性を好きになって、あいつにとられたりした。なんでもあいつに適わなかったことにひがんでいた。ここにもう1人の私を見たとき、やはり犯人は私だったのか?て、気はしたが間違いないかもな。


 また私はこいつに負けたのかも知れない。


 もう1人の私に刺してもらって2人でにげようと考えた。だが、私は考えを改めた。


 もういいじゃないか。一度、刺しているのだから。


 次は罪を償え。


 中の私がナイフを片手に大森に突進してきた。


 私はとっさに大森の前に立ちはだかった。


 その瞬間、激痛が走った。



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