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未知夢

第15章 隠人

 なに? なんだって? 私が2人!?


 中を覗いてみると、ダラリと椅子にもたれ掛かった私がそこにいた。


 大森は何度も中にいる私と、外にいる私を見比べていた。


 まあ、状況を考えれば、今のこの世界では私が2人いることになるのだが、なぜ、ここに私がいるんだ?


 あの日、私は帰って無かったのか?


 どういうことなんだ? 大森は酔いが冷めたのだろう。


 中にいる私に声をかけている。


『おい、竜崎! お前がそこにいるんだよ。なんなんだ? 双子かお前。』


 まあ、双子にしておいた方がいいのだろう。


『おい、大森くん、弟を迎えにきたんだ』


 ありえもない嘘を言う。まずこの状況を修めないととても大森を救うことができない。


『と、とりあえずだ、弟を引き取りたい。あのついでと言ったらなんだが、大森くんも一緒に』


 弟を連れ戻すのに、1人じゃ大変だから大森にも手伝ってもらって、ここから出てもらう方法。


 大森はなにがなんだかわからねぇって顔で言う。


『いや、それにしてもよくここに弟がいたってわかりましたねえ。本当に双子なんですか?』


 全く寸分もくるわねぇ顔付きと体型を見て、双子じゃないなんて言えるか?




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