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未知夢

第13章 真相

 繁は隆夫と綾子に一礼すると、背中を向けて歩き出した。


「待って!」


 綾子が呼び止める。


「お父さんのお金、必ず返します。だから、また会って下さい」


 繁はどう言っていいのかわからなかった。


 また再び会うことはあり得ないからだ。だが、繁は苦し紛れにこう言った。


「あんたがそれまで生きてて、俺がこのままだったらいつか会えますよ」


「約束ですよ」と、綾子はすかさず言い返した。


「……わかりました」


 繁はそう言って顔を見ないまま屋上を後にした。




――――
――――
…………
‥‥‥
・・


『ゴーーーン』





「ちょっと、大丈夫? お兄さん、大丈夫ですか?」


「?」


 誰かが声をかける。



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