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未知夢

第12章 好機

 勝ち抜いて行こうとするならば、森屋くらいのことをしなければ突き進めないのかも知れない。


 それだけの欲を持って、手に入れようとする執念は認める。


 繁は森屋のやり方が気に入らなかった。人からみれば、繁の思いは逆恨みであろう。


 だが、高円寺綾こと綾子の思いを踏みにじった行為に、だんだんと怒りを覚えてきた。


 だから言った。


「仇は取ってやる」と……。


 高円寺綾の自殺、これは森屋の真実を知った綾子の後悔の念。


 10年前に現れた自分が全てを話さなければ、今も高円寺綾は生きていたのかも知れない。


 もう死なせない。


 繁は言った。


「あんた……生きろ!! 一緒に戦おう!!」


 すると、心の声がそれに答えるように反応した。


〔無理だ。彼女は自殺する。一度起きた過去は変えられないんだ。未来は進む〕



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