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未知夢

第12章 好機

 森屋も確かに恨まれて当然であろう。結婚して、なおかつ一人のアイドルを口説き落として妊娠させると、ポイと捨てる。事実を公開すれば高円寺綾のファンからも恨まれて当然。


 その時だ。


「あ……あやこぉーーっ!!」


 突然、隆夫が叫び出した。


 その声に反応して繁も振り返る。


「!!」


 そこには、柵を乗り越え、屋上のへりに立つ綾子の姿。


「あ……愛してたのに……好きだったのに……」


 その手には携帯電話が握られていた。


 綾子は直接森屋に電話をかけ、吐かせたのだ。全ての事を……。


「綾子、はやまるな!!」


 隆夫が近付くと、綾子は激しい形相で振り向いた。


「近寄るな!!」


 そう叫ぶと、手に持っていた携帯電話を投げつけた。


『パカァーーン!!』


 床に激しく打ち当てられた携帯電話は粉砕。


 隆夫はその場で立ち止まった。



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