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未知夢

第12章 好機

「彼は大学の同期だった人なの。すごく頼りがいがあって、何事もしっかりとした考え方を持っている人。お父さんも気に入ってくれると思うんだ」


 綾子は自分のお腹を擦りながら言った。


 父親としては、先に身籠もった娘を見るのは耐え難いものがあった。


 だが、自分の過去を考えると、今は亡き妻とは出来ちゃった婚だったことを思い出した。まさか、娘も同じ道を歩むなんて……。


「なんて名前の人なんだ?」と、隆夫が目を反らして聞いた。


「彼、森屋って言うの。森屋隆弘さん」


「わかった。じゃあ、その森屋とやらを連れてき……え?」


 隆夫の顔が一瞬曇る。


「お父さんどうしたの?」と、綾子が顔を覗く。


 うつ伏せて嘆いていた繁が顔を上げる。


「えっ!? もりや?」


 繁は立ち上がった。


 そして、綾子に近付くと少し考えながら尋ねた。



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