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未知夢

第12章 好機

「綾子……お前、あの歌手の桜石洋(さくらいしよう)君と結婚するんだったな」


「……」


 隆夫がそう言うと、黙ってうつ向いてしまった。


「桜石洋……あぁ、そんなのいたなぁ。たしか、のちに引退してAV男優してたはず。て、ことは……綾ちゃんはあいつの練習相手!?」


 繁は拳に力を入れた。


 今はそんなことは、自分の口から言えない。


 繁がいる世界は、10年前の時代の夢なんだ。


「えっ? あれ?」


 ふと、繁は思った。



 ここは夢じゃないと……。


 温度、匂い、感触、全てを感じる。


 まさか、本当の過去の世界!?


 いや、ありえない。今まで自分が見てきた世界は夢の中と現代にいながらの幻覚。


 もちろん、これはあの自分と同姿の「心」が言っていたこと。



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