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未知夢

第12章 好機

「触らないでよ!!」と、綾は、繁の手を払いのける。


 綾は父である隆夫に近寄ると、険しい表情で言った。


「ねぇ、今のは本当?」


「待て、これはそこの男が勝手に……」


「本当なんでしょ? パパの借金が返せなかったら、私どうなるのよ?」


「どうにもならないから……今度、大金が入るんだ。それで全て終わるから」


「いい加減にしてよ! なんで私ばかりこんな目に遭うのよ!!」


 綾はしゃがみ込んで泣き出した。


 繁は呆気にとられていた。


「え? 今の展開はなに?」と、首を傾げる。


 隆夫が繁に詰め寄った。


「ちょっとあんた、なんてこと言うんだ」


「へっ?」


「へっじゃない!! いま、わしは娘に相談を受けてた所だ!! あんたいきなり出てきてこの場を崩してなにしてくれてんだ!!」



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