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未知夢

第12章 好機

 隆夫の額から大量に汗が流れ出す。


「ちょ……ちょっと待ってくれ!! その話は後だ……」


「ごまかせばごまかすほど、娘さんに悲しい思いをさせるんじゃないのか? いま、人気のアイドル高円寺綾を」


 隆夫はうろたえた。


「まて……そうじゃないんだ話を……話を聞け」


「問答無用の言語道断!! あんた、借金の形に娘さんを売ったんじゃないのか!?」


 繁は力強くそう言うと、隆夫は肩を上げ、目をギュッと閉じた。


 綾は隆夫に駆け寄った。


「え? ちょっとなによ、その話?」


「いいから、何も聞かなくていい。お前は向こうに行ってなさい」


「ちゃんと話してよ!!」


 繁は綾の肩に手を置いた。


「落ち着いて下さい。僕はあなたを助けに来たんです」




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