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未知夢

第12章 好機

「すまんが、何も無ければここを出てもらえないか。わしとあの娘との問題なんだ」


「いや、そうはいかないですよ。隆夫さん」


 男は驚いた。なぜ、自分の名前を知っているのか?


 繁は一呼吸して、娘の綾の方に目を向けた。


「あの、もう大丈夫です。僕の話を聞いて下さい」


「え?」と、綾は目を丸くする。


 繁は隆夫に近寄った。そして、目を吊り上げて睨み付けた。


「あんた……いくら借金してるんだ?」


「な……なにっ!?」


 隆夫の表情が変わった。


「すぐそこの暴力団から借りてんだろ!!」


「あんた、知ってるのか!? ま、待て……今、その話をされたら……」


「おっと!! まだ話は終わってない」



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