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未知夢

第12章 好機

 繁の左手には、札束の入ったボストンバックが握られていた。


「あ……あなたどこから来たの!?」


 高円寺綾が自分に向けて話しかけてきた。


 その問いには答えたくても答えにくい。


 サインは貰えないだろうか?


 いや、そんな場合では無いことは何度も承知している。


「いや、僕は遠い銀河系からきました」


 な、こんな状況でもそんなことが言える自分の悲しい性格に涙が出そうだ。


「あ……あんたさっきの」


 男が声をかけてきた。


「いっ!?」


 幻覚で見た、10年前の自分の部屋に住んでいた男だった。


 そうか……あそこに住んでたんだな。



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