テキストサイズ

ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.





「っな…………!!」


なんで、なんで、なんで!?

どういうコト?


振り返らずともわかるその声の主は、悲鳴をあげそうになるアタシの口元を手で覆うとそのまま耳元で続ける


「でかい声出すなよ…」

「っ…ん…」


久しぶりに聞く甘くて低い声にアタシの肩は否応なしにピクリと揺らされる


「そいつ、起こしたらどうなるかわかるだろ…」


そう耳元で囁かれて、目の前で穏やかに寝息をたてている葵くんの綺麗な寝顔を見つめながら、小刻みに首を縦に振る


ヤバい…

ヤバい…!!

アタシの心臓がヤバいコトになってる!!


「イイコだ、こっち向けよ…」

「……っー!!」


耳元に顔を擦り寄せられ、髪を割った唇から吐息が直に耳にかかって思わず漏れそうになる声を堪える


「千隼…」


アタシの名前を呼ぶ甘い声

その声に反応した心臓が、まわりに聞こえてしまうのではないかというくらい大きな音をたてている


アタシは必死に漏れそうになる声と、口から飛び出しそうになる心臓を押さえるように口元を手で覆うと、ゆっくりと寝返りを打った




ストーリーメニュー

TOPTOPへ