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ネムリヒメ.

第15章 イチゴタルト.





静かにカラダの向きを変えると、シーツの擦れる音がしてベッドがキシリと小さく鳴る


そして目の前に映るのは、ガウンの隙間から見える綺麗な肌に付いた見覚えのある引っ掻き傷で、

そこから香る深いムスクのような香りがトクンとアタシの心臓を揺らした


そっと見上げれば、アタシを捉えるのは少し長い黒髪の隙間から覗く切れ長の目と漆黒の瞳

そこから向けられるのは相変わらず艶やかな眼差しで


「おはよ…」

「なぎ…さ………っ!!」


そう微笑む彼の名前を最後まで呼ぶ前に、背中に回された手で抱き寄せられる

はだけた胸元から直に感じる彼の鼓動と体温


「眠れた…?」


髪にキスを落とされて、そう上から囁かれて


ここ、葵くんの部屋だよね

なのになんでなんで
どうして…


しかし、そんな疑問はドキンドキンと大きな音をたてる自分の鼓動に掻き消されて

ドキドキのし過ぎで頭のなかが真っ白になってしまう


ただ確かなのは、ベッドの上で眠る葵くんの隣でアタシがこうして抱き締められているのは渚くんで…





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