
凍夜
第5章 渇望
「マンションの8階から飛んだんだ。親子で!フツー飛ぶかねぇ……?」
マスターの目が険しく光った。
レイジは肩が凝ったと言わんばかりに首を回した。
「サツが来て俺まで尿をとられたよ、まいっちゃうよなぁ、奴らは麻薬の疑いがあるって!何やってんだかね……?」
私はレイジから目をそらすことも忘れて凝視したままだった。
「死神だな!やっぱり!ダイアの新しい夜になんてことを!」
マスターの広いおでこに青筋が見えた。
「おいおい、勘違いしないでくれよ、俺が何をした?死神なんて冗談じゃねぇ!こっちは夢を売っているんだ!高くてオイシイ夢をね!」
「いいや、お前はやっぱり死神だ!」
「商売だ!全く、銀さんもマスターも昔からキレイごとばっか並べやがって……!ほーら見ろ!そんなだからダイアももう落城寸前じゃねーか!明日の朝刊飾るぜー!」
「それ以上言うな!バカタレ!」
