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先輩とは真逆です

第7章 泣かせてごめん

今何時だろう。もう外が赤色に染まり始めていた。
お風呂の支度をしようと起き上がった時。

――ピンポーン

突然のチャイムにベットから落ち、尻餅をついてしまった。

痛い…誰こんな時に…


『夏樹ー?大丈夫?』
「えっ、みら…?」


微かにドアの向こうから聞こえた声は確かにみらの声だった。急いでドアを開ける。


「みら、どうし…」
「夏樹お見舞い来たよ!森先輩も家知らないらしいから一緒に!」
「夏樹大丈夫?」


咄嗟にドアを閉めてしまい、二人の心配している声が聞こえてきた。

なんで、洋一さんがいるの…?なんでっ…


『大丈夫夏樹?…先輩何かあったんでしょうか!?』
『急に体調が悪くなったとか?夏樹、入る――』
「駄目っ!大丈夫だから、今日は帰ってもらっていい?」


今にも泣き出しそうだった。声があの時と同じだから、何もなかったような顔で話すから、いつものように優しいから。

悲しみと怒り、嫉妬で心がブラックホールのように黒く、ぐるぐると回り自身を引き込む感覚に包まれる。

早く帰って!早くっ…


『薬とかドアに掛けておくね。お大事に!』
『夏樹…いつでも頼ってね、お大事に』


なんで優しくするの…頼るわけないじゃん。移したら彼女に悪いでしょ…

洋一さん、さようなら…
彼氏でないなら、ただの先輩だよ。


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