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山岸君と照井君

第29章 沈む心―――……

「―――…宏樹――…」


僕は…ドアの向こうにいる宏樹を感じようと…


手のひらでドアを撫でる――…



スライドさせれば…


そこに…宏樹がいるのに…




会えない――――――…




宏樹は…


あんなに怪我をしてたのに…


僕を…探して…ここまで来てくれた――――――…




「宏樹……聞こえてた?

僕は、留学―――…する…

いつ帰ってくるか解らないんだよ…


それでも―――――――…」




僕は…ドアの前に座り込み――――…



ドアに額をつけた――――…





『―――…偏見は覚悟してた…


でも――――…お互いの家族には…


認めて欲しい――――…


俺たちの恋愛を理解して…受け入れてくれとは言わない…


ただ…俺たちのこの形を…認めて欲しい―――――…


それが、その条件なら…


俺は…苑心を待つ――――…』





涙が…床に落ちる――――…




雷心兄さんは…まだ…僕たちを気持ち悪いモノを見るように見ているにちがいない…



でも――――――――…




この先…認めてもらえる道があるなら…




賭けてもいいのかもしれないと―――――…



思う…


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