
山岸君と照井君
第29章 沈む心―――……
「――…苑心…聞いているのか?
返事をしなさい――――…」
「――――…は…い」
父は―――――…
僕の返事を聞き――――…
病室から出ていった…
「―――…手続きはこっちで全てやるから。
お前は、なにもしなくていい――――…」
留学…
はっきり言えば……
厄介払い――――――…か…
ほぼ…絶縁……だ…
二度と関わりたくないって事だ…
「――――…雷心兄さん…
宏樹は……大丈夫なの?」
雷心兄さんは、僕を見下ろし…
めんどくさそうに…ため息をついた…
「迷惑な話だが……大丈夫だろ?
指の爪は痛々しいが…
後頭部や顔面の腫れは引けたし…
血の割には…傷は浅かったから」
雷心兄さんは…他人事の様に…
一般の患者の様に…
宏樹の怪我を…受け流す
「―――…宏樹は…僕をかばって怪我をしたんだ……
そんな…言い方――――…」
ベッドに散らばる写真を集め…
雷心兄さんを…見上げる―――…
「――――…気持ち悪い…
男同士で…こんな事して…」
