
山岸君と照井君
第27章 曇天の入口―――……
一応…
弟に連絡をすることにする―――…
何度か呼び出し音を聞き――…
プッ…『もしもし?』
と、弟が出たことに…少しイラッとした…
出なきゃ…そのまま行ったのに…
とか…かけたのは自分なのに、理不尽に苛立つ…
「あ―――…岳心だけど」
電話で自分の名を名乗るとか…面倒くさい…
『―――…岳心…兄さん?』
弟の声が……驚きなのか…一瞬かすれる……
「――苑心…最近『!宏樹!』
「―――――…は?」
苑心の――――…
あんな大声を聞いたのは初めてで!!
驚いた――――――…
と…次からは…
スマホからは――――…
ヤバい音しか聞こえない…
床に…スマホが落とされた音―――…
何かがぶつかる音…
弟の……叫び声――――…
米屋の…呻き声――――…
『逃げろ!!』
の…彼の声――――――…
俺は、アクセルを強く踏むことしか…
出来なかった―――――…
俺たちが…
無視し続けた―――――…
面倒くさがった――――…
結果――――――…
