
山岸君と照井君
第20章 恥ずかしがり屋――…
苑心の部屋は…
一応…人の気配がする……
俺は、ベッドでスヤスヤ眠る苑心の隣に…腰を下ろす…
時間帯も…時間帯だ……
薄明かりだけの…部屋だが…
暗闇に目が慣れた俺は……
苑心の…スマホを手に取る…
苑心が記録した米屋とのやり取りを…
手に力を込めながら……
もう一度…確認する……
「――――…くそ…」
何度見ても―――――…
米屋に虫酸が走る…
そして…苑心の強い口調に…
思い知らされる―――――…
俺は何て―――――…
無力なんだ……
スマホを持つ手が――――…
震える…
苑心…お前は…強いよ…
俺は…睨むようにして…画面を見つめ……
その画像を自分のスマホに転送させた―――――……
俺は、自分のスマホに転送されたのを確認して……
苑心のスマホから…
その画像を消した――――…
何か…あったら…
俺が…出るとこ出てやる…
苑心の頬に触れると…
苑心は、ふにゃ…っと…笑って…
「バカ――――……」
と…俺の手のひらに唇を寄せながら、寝言を言った…
好きよりも…
愛している…よりも……
強く…苑心を思う―――…
この気持ちを―――――…
表す言葉は…
今この時点では…
存在しない気がする――…
