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【S】―エス―01

第36章 決行

 視線を受けて茜は短いジーンズスカートの裾にあてた両手を握り締め、確固たる意思を込めて瞬矢……そして刹那を見据え、黙って頷き一言。


「行こう」


 木々が鬱蒼と茂る山道を登り、見受けられたのは岩場に聳え建つシャーデック城。3人はそれぞれに分かれ、地下への入り口を確認する。


 いくつかの侵入経路も全て塞がれていた。地下への入り口が、何か特殊なコンクリートのようなもので覆われている。


「ここもか……」


《そっちは――》


 突如やって来たそれは、瞬矢が刹那に向けて思念を送るのとほぼ同時だった。


 キン――と反響する耳鳴りに加え、直接脳内を掻き回されるような痛みに、思わず耳を押さえ顔をしかめる。


 見れば塔の上にいる刹那も同様に抱え顔をしかめていた。


 恐らくだがこのコンクリートのようなものに意思疎通を遮断する何かがあるのだろう。とりあえずのところ、目線だけで合図を送る。


 耳鳴りと頭痛も止んだ頃、塔の上にいた刹那が跳躍を見せて緩やかな弧を描き、土草を踏み締め眼前に着地する。


「そっちは?」
 

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