
【S】―エス―01
第24章 兄弟
すると、今まで螺旋状に覆っていたエネルギー体は瞬矢の全身に凝縮され、同時に身を屈め左足で勢いよく地を蹴った。
コンクリートの床は重心をかけ地を蹴った左足を中心に窪み、大きく亀裂が走る。
風の如き速さで一気に開いていた5メートルの間を詰め、刹那へと肉薄。体内に圧縮していた青白い光の粒を右拳に纏わせながら目がけ放つ。
だが刹那は触れることなく左足に軸を置き体を回転させ、ひらりとかわす。その瞬間、
「――ッ!」
右斜め前に移動した刹那の目が見開き、薄紫色の眼(まなこ)の奥にある萎縮した瞳孔が瞬矢を捉える。
「!」
かわしきれない――そう判断した瞬矢は咄嗟に両腕を交差させ、防御体勢をとると共に直撃を回避した。
襲い来る圧に弾かれ、着地した摩擦で粉塵を上げながらぴたりと止まる。
潜在的な能力だけならば2人はほぼ互角だが、覚醒して間もない瞬矢に多少のハンディキャップが窺えた。
(こりゃあ、茜との約束守れねーかもな)
追い込まれながらもそんなことを黙考するその表情は、不思議と充足感に溢れていた。それは刹那とて変わらず。
コンクリートの床は重心をかけ地を蹴った左足を中心に窪み、大きく亀裂が走る。
風の如き速さで一気に開いていた5メートルの間を詰め、刹那へと肉薄。体内に圧縮していた青白い光の粒を右拳に纏わせながら目がけ放つ。
だが刹那は触れることなく左足に軸を置き体を回転させ、ひらりとかわす。その瞬間、
「――ッ!」
右斜め前に移動した刹那の目が見開き、薄紫色の眼(まなこ)の奥にある萎縮した瞳孔が瞬矢を捉える。
「!」
かわしきれない――そう判断した瞬矢は咄嗟に両腕を交差させ、防御体勢をとると共に直撃を回避した。
襲い来る圧に弾かれ、着地した摩擦で粉塵を上げながらぴたりと止まる。
潜在的な能力だけならば2人はほぼ互角だが、覚醒して間もない瞬矢に多少のハンディキャップが窺えた。
(こりゃあ、茜との約束守れねーかもな)
追い込まれながらもそんなことを黙考するその表情は、不思議と充足感に溢れていた。それは刹那とて変わらず。
