
箱……肆
第2章 沈む箱
「――――…認知症です」
医師の判断は……
娘の予想通りだった――――…
“認知症”なんて―――…
ただのボケだろう…と…
私は甘い考えでいた…
薬を処方された妻に…
「専業主婦で何年も、ボーッと生きてきた結果だ!!シャキッとしなさい!!
認知症って……ただの老化だろ?
薬を飲んで!早く治せ!」
そう――――…
言ったのをぼんやりだが…覚えている…
主婦で家に居るだけなのに、病気になるな!
と…なんども妻に言ってきた事だったから…
今回も何気なく…
考えなしに…言った―――…
妻は…「ごめんなさい」と…
笑っていた――――――…
