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初カノはエロうさ

第3章 変態彼女にお仕置きを

うつらうつら…浅い眠りに就ては、小さな物音で目が覚める。俺にとって睡眠は逆に疲れる。

まだ夜が明ける前に、母親が帰宅した音がして……身体を強張らせ、その動向を耳だけで追った。

冷蔵庫の開閉音。時間なんて構わず大音量で付けられたテレビ。


……暫くして、ようやくまた静寂が訪れた。

多分、母親はリビングでテレビを観ながら寝てしまったのだろう。

そう確信した瞬間、張り詰めていたものが一気に抜けて崩れるように眠りにつく。


そんな時間に寝てしまえば、目が覚めるのは太陽が空の天辺まで上がる頃。

ノロノロと起き上がり、リビングへと降りれば、母親の姿はもうなかった。


昼も夜も、休む暇なく働く母親。

休みの時は、母親自身の恋愛に夢中になるのは仕方ないと思う。

誰か…父親以上の男を見つけて、幸せになればいい。

そうして、むしろ俺への興味を無くしてくれればいい。

身代わりになんて、もう二度と…されたくない。


なんて言ったっけ?その時間は寝ていた方がいいっていう夜中の何時間か。朝方ようやく眠りにつく俺には無関係なその時間。

やっぱり大事なんだろうな……昼間から身体がダルい。

重い身体を引き摺って玄関を出れば、

「つーくん♡」

……面倒なのに捕まった。

「その呼び方やめて」

不機嫌に振り返った俺に、

「うさこ専用?」

ウキウキしながら答えるのは、

「……深雪のお喋りは、おばさんの遺伝だね」

そう、お隣の幼馴染 深雪の母親だ。


「たった1人の男を愛し続けるハートこそ遺伝して欲しかったんだけどねぇ…」

お喋りなのは否定しないらしい。

「今何人だっけ?」

「1人減って2人増えて4人」

「……体力有り余ってんな」

この前の男とは続いてんのかな。

深雪の本当の運命の人とやらがいたとしても、こんな重複してたら見逃すんじゃないのか?なんて、余計な世話を焼く俺に、

「この前翼の彼女見たよ!ちっちゃくて可愛い!しかも ”つーくん” ”うさこ” って呼び合ってたじゃないの〜」

ガチラブ〜♡ なんて、ちょっと若者を意識したらしいけど、全く意味不明な言葉で囃し立てる深雪の母親。思春期に母親がうざくなる訳がわかる気がする。

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