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第2章 Episode 2 痛み


「我々は、犯人はわざと飼い主に死骸を発見させ、悲しむ様子を陰で見て楽しんでいると思っている。そのうち、2回目と3回目の犠牲となったペットの飼い主は君の知り合いだったね」
「……遠回りな言い方せずに、ハッキリ言ったらどうですか? お前が犯人じゃないのかって」


ストレートな物言いの黒斗に、思わず刑事が怯んだ。

「2回目と3回目の飼い主と俺には接点があった。だから2人が行きそうな場所を憶測し、先回りすることが出来た……あんたらが言いたいのは、こういう事だろ?」
「…ああ、そうだ。正直に言わせてもらうと、我々は君を疑っている」

やっぱり、と黒斗が鼻で笑うと、刑事が眉を潜めて睨みつけてきた。


「違う!!」

泣いていた筈の鈴が現れ、2人の間に割って入る。

「クロちゃんは、そんなことをする人やあらへん!! 何も知らないくせに、いい加減なこと言わんといて!!」


泣き叫ぶ鈴に圧され、刑事は「すまない」と謝罪の言葉を口にはしたが、瞳には黒斗への疑いの色が残っている。






暫くした後、警察は現場から撤収し、リンの生首は業者が引き取っていった。

鈴の手元に残ったのは、赤黒く染まったリンの首輪だけだった。



「…………」
黙ったまま俯き、涙を流し続ける鈴。

「……家まで送る」
「でも…クロちゃん、学校……」

遠慮がちな瞳でこちらを見つめてくる鈴に、黒斗は溜め息を吐く。

「今は学校よりも、お前が一大事だろうが。着替えてくるから少し待ってろ」

そう言って家に戻っていく黒斗の背中に、鈴は「おおきに…」と消え入りそうな声で礼を述べた。

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