
デスサイズ
第2章 Episode 2 痛み
「…………こないだ大神くんが言うとった、猫の殺害事件と犯人が同じかもしれへんって……」
人だかりを抜けた鈴が立ち止まり、肩を震わせながら拳を握りしめる。
「……何で…こんな酷いことをすんのや……犬も猫も……ウチらと同じで、生きとるのに…!」
「……動物の命は、軽く見られることが多い。皆が橘みたいに、動物の命を重んじれる訳じゃないんだ」
鈴は何も言わず、顔をうつむかせたままだった。
(ククッ…あのガキ、大泣きしてるな)
人の群れに紛れ、カナの様子を見ている林は必死に笑いを堪えていた。
カナの行く先を先回りした林は公園に、ココアのむごたらしい死骸を設置し、わざとカナが目撃するように仕向けたのだ。
最初のネネという猫も同じように、飼い主が最初に見つけるように死骸を置いた。
(こんなことぐらいで泣くガキの気持ちがわかんねえな。俺の方が、もっと悲惨なめにあってんだよ)
心の中で毒づく林。
「っ!!」
その時、激しい悪寒が林を襲い、同時に殺気を含んだ視線を感じた。
(だ、誰だ…?)
気味の悪い感覚に、林は冷や汗を流しながら周囲を見回し、視線の主を探す。
「!」
ほとんどの人間が現場に視線を向けている中、林は己を真っ直ぐに見つめてくる少年……黒斗の存在に気づいた。
(チッ、気持ち悪いガキだ!)
血のように真っ赤な瞳で、射抜くような視線を送ってくる黒斗に嫌悪感を抱いた林は、足早にその場を立ち去った。
「…………今回で2回目……」
ポツリと呟かれた黒斗の言葉は、誰にも届くことなく消え入った。
