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第2章 Episode 2 痛み




騒ぎを聞きつけた黒斗が日名田公園に辿り着くと、公園の周囲には大勢の人だかりが出来ていた。


人がロクに寄りつかない寂れた公園が、一番注目を集めたのが事件が起きた時とは、なんとも皮肉な話である、と内心思いながら人の群れを掻き分けていく。



最前線に立てた黒斗は、リンを抱きしめたままの鈴が警察から話を聞かれている所と、カナが母親に抱きついて泣きわめいてる場面を目撃した。




数分後、話を終えた鈴が黒斗に気づき、駆け寄ってきた。

「クロちゃん、来てたんか…」

「騒がしかったからな……何があった?」


黒斗の問いに、鈴はうつむきながら答える。


「昨日、公園でチワワ連れてた子、覚えとる?」

黙って黒斗が頷くと、鈴は続けた。


「その子のチワワがな……酷い殺されかたをして、鉄棒に吊るされとったんよ…」

「……そうか」

互いにそれ以上何も言わずに、人だかりを抜けていく。

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