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第2章 Episode 2 痛み




「俺みたいに頑張ってる人間は評価されなくて、お前ら畜生(チクショウ)は可愛いってだけでチヤホヤされる………本当に腹が立つぜ!!」

そう叫ぶとココアの腹に刺さったままの包丁を真下に動かし、さらに腹を裂いていく。

グチュグチュグチュ

肉が裂ける音と共に血しぶきが飛び散り、林の顔にかかるが、彼は包丁を動かす手を止めない。

「ざまあみろ!! ハハハハ!!」

既に息絶えているココアを見下ろしながら林は狂ったように笑いだす。

「何の役にも立たないくせに、可愛がられて愛されて……ムカつくんだよ!! いい気味だ!!」




辞職していく従業員。


理由も言わずに家を出た妻。


こんなにも自分は頑張っているのに、どうして誰も解ってくれないのか。


どうして皆、離れていくのか。



そんな事を考えているうちに、いつしか林の怒りの矛先は、他人のペットへと向けられるようになった。



役に立たなくても、頑張らなくても、ただ“可愛い”という理由だけで愛され、必要とされる存在。



自分とは真逆の存在。


林には許しがたい存在。


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