
デスサイズ
第2章 Episode 2 痛み
林の寝室の中には、茶色いチワワ……カナの愛犬ココアが口に轡(くつわ)をはめられた状態でケージに入れられていた。
「キュ……ピー、ピィ」
轡のせいで吠えることができないココアの口から、怯えを含んだ声がもれる。
夕方、公園でカナがトイレに入っている間にココアをさらったのは林だ。
カナと鈴が互いにペットを自慢している場面を目撃し、その時からココアに目をつけていた。
隠しもっていた麻酔針でココアを眠らせ、持っていた鞄の中に押し込み、そのまま家に連れて帰ったのだ。
「ククッ……覚悟はいいか、クソ犬」
ニヤリと笑うと林は手袋をはめて、机に置いてあった包丁を手に取りココアに近寄る。
その包丁には返り血がこびりついていた。
「どいつもこいつもムカつくけどよ…一番ムカつくのはお前ら動物なんだ!!」
ケージを開けて、ココアの首を掴んで引きずり出すと、腹部めがけて勢いよく包丁を降り下ろした。
グシュッ
「キュー、ピッ、ピッ……」
痛みにココアはもがくが、小型犬の力では人間の手から逃れることは出来なかった。
