
デスサイズ
第2章 Episode 2 痛み
さすがに口で急かしては店長に叱られるので、「早くしろ」という思いを持って少年を見つめると、申し訳なさそうに頭を下げてスピードを僅かに早めた。
何気なく黒斗は少年の姿を観察する。
猫っ毛の銀髪と、エメラルドグリーンの瞳。
女顔の童顔で、綺麗というよりは可愛い系だろう。
如月高校の紋章が着いた青いブレザーを着ているので、同じ学校に通っているようだ。
「ふざけんなコラアァァ!!!!」
突如、店内に怒声が響き渡り、驚いた少年が手に持っていたサイフを落としてしまう。
「あ、わわわわわ!!」
床に落ちたサイフから小銭が飛び散り、慌てて少年が拾い始めるので、黒斗も手伝う。
「す、すいません」
「辞職など許さんぞっ!!」
「うひいぃ」
少年が黒斗に頭を下げるが、再び響いた怒鳴り声に驚き、肩を強張らせた。
店内に居る他の客も、何事かと声の主に目を向ける。
