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第2章 Episode 2 痛み


「でも、気をつけた方が良い」

「え? 何に?」

一呼吸おいて、大神が口を開く。


「今朝、行方不明になっていたペットの猫が遺体となって見つかった。遺体は全身を無惨に切り刻まれている状態だったらしく、犯人もまだ見つかっていない。君の飼い猫も、こんなことにならないように気をつけるんだな」


「そ、そんなヒドイことする奴がおるんか……許せへんわ……。警告、おおきにな大神くん」

素直に礼を述べる鈴。


「……こないだの連続殺人の時もだが、やけに事件に詳しいな。ただの男子高校生のわりに」

「…………」


不信感を露にする黒斗だが、大神は黙ったまま踵(きびす)を返し、校内へと入っていった。


「……チッ、都合が悪くなったらだんまりか。ムカツクな」

「まあまあ……何でクロちゃん、大神くんにキツくあたるんや? もっと仲良うしようや」

「生理的に受け付けないんだ」



一目見た時から、黒斗は大神に嫌悪感を抱かずにいられなかった。

自分と同じ赤い目を見ていると落ち着かないし、感情の欠片を一切感じさせない所も、いけすかない。

そして――死神のことなら何でも知っているような素振りが何よりも気にくわないのだ。


(俺の正体に気づいてるかと思ったが、そうでもないらしいしな……掴み所の無い奴だ)


苛立ちながらも、黒斗は鈴と共に校内に入るのだった。


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