
デスサイズ
第2章 Episode 2 痛み
「堪忍な、大神くん! クロちゃん、ひねくれとるから許したってやー」
「…………」
鈴が間に入って仲裁するが、大神は無言のままだ。
「言いたいことがあるなら言えよ」
「しっ!」
慌てて鈴が黒斗の口を塞ぐ。
「…………」
気まずい沈黙が、その場に舞い降りる。
「…………あの三毛猫は、橘の飼い猫?」
沈黙を破ったのは意外なことに大神だった。
驚いた鈴は一瞬言葉を失うが、すぐに気を取り直して質問に答える。
「せや。名前はリンっちゅうんや! かわええやろー!」
「ああ。とても可愛いよ」
「やっぱり!? そうやろー! めっちゃかわええやろー!」
「……飼い主バカめ」
黒斗がポツリと呟くが、愛猫を褒められて有頂天になっている鈴の耳には入らない。
