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第3章 Episode3 挫折



痛みに耐えて閉じていた瞼を開き、顔の近くに転がっている何かを見やる。

そこにあるのは、ナイフを握ったままの有理の掌だった。


「ひあああ゛あ゛ぁ゛!!!!」

悲鳴をあげながら、左手で転がっている掌を押して遠ざける。


上半身を起こして、その様子を見ていた玲二は吐き気を催した。

「テメエ玲二!!!! なにをしやがったあぁ!!」

鬼のような形相で玲二を睨みつける有理だったが、やがて恐ろしいものでも見てしまったかのように瞳孔を開き、固まった。


「はっ!?」

背後から気配を感じて玲二が振り向くと、そこには黒いフードと髑髏(どくろ)の仮面を身に付けた人物が立っていた。


(だ、だれ……!?)

痛む腹を抑えながら、よろよろと謎の人物から距離をとった玲二は、その人物が鎌を持っていることに気づいた。



「まさか……死神さん…?」

「…………」


死神――黒斗は玲二を一瞥した後、床に転がったままの有理の掌に歩み寄る。

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