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第3章 Episode3 挫折




「……と、こんな訳です」


話を終えた玲二はコーヒーを啜り、渇いた口内を潤した。


「PTSDか……まあ、あの様子を見た時、大方そうじゃないかと思っていたが」

「アハハ……兄貴には何でもお見通しだね」

苦笑する玲二。


「6年前の事件……お前ら仲良し3人組を襲った犯人は未だに捕まっていないのか」

「うん……事件は迷宮入り。6年も経った今では、証拠も消えちゃってるよ」


玲二は深い溜め息を吐いた後、半分残っていたコーヒーを一気に飲み干した。

「オレが兄貴の舎弟になったのは強くなりたいからって言ったよね。オレ、精神的に強くなりたいんだ」


拳をグッと握り締め、言葉を続ける。


「兄貴は真っ直ぐな目をしてる。そんな目をしてる人は揺るぎない信念を持っているからだって、お父さんが言ってた。兄貴の信念はオレには分からないけど、強い意志を持っていることは分かる」

「…………」

「だからオレは、兄貴みたいに強い意志を持ちたいんだ。トラウマを乗り越えられるくらい、強くなりたい。変わりたいんだ!」


「そうか」


そう呟くと、黒斗も残っていたコーヒーを全て飲み干した。

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