
デスサイズ
第3章 Episode3 挫折
だが、洋介は諦めなかった。
「腕が無くても、足があるじゃないか」
彼はそう言って、足を使って絵を描く特訓に励んだ。
玲二と有理も、必死に頑張る洋介を親身になって支え、応援していた。
1年の時が流れた後、3人が事件で負った傷も完全ではないものの癒えて、フランス留学が決まった有理は日本を去った。
何度も挫折しながらも洋介は努力を重ね、ようやく足で絵を描く術を身につけた。
洋介と有理は事件から立ち直り、再び絵を描くようになったが、玲二だけは立ち直れずにいた。
忌々しい事件のせいで、PTSD(心的外傷後ストレス傷害)を患(わずら)ってしまったのだ。
絵を描こうと鉛筆や筆を持つと刺された時の出来事がフラッシュバックし、手が震えて落としてしまう。
事件から6年経った今でも、玲二のPTSDは治る様子が無く、あの事件以来、彼は大好きだった絵を描くことが出来なくなってしまったのだ。
