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The man suitable for me

第1章 逢瀬

もう一度、慎重に、物音をたてないように、息をひそめながら、自分に触れた。

各駅停車の、この電車が駅に停まるたびに、誰も乗ってこないでと、思いながら、顔を下に向ける。

その間も、自分のそこに触れ続ける。

そこは、溢れるほどに濡れていて、指を動かすたびに、そこから発する音が聞こえる。

心臓がドキドキして、血液の流れる音が聞こえる。

みんなに聞こえているんじゃないかと思うと、気が気じゃない。

恥ずかしくて、狂いそうになる。

電車の中で、こんなことをしている私。

どうして、彼の言うことを、聞いてしまうんだろう?

わかっている。

きっと、私がそれを望んでいるからだ。

望んでいるくせに、一人ではできないから、彼が指示を出してくれるのだ。

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