
スキをちょうだい。
第2章 こうかい
「月野!」
自分の名前を呼ぶいかつい怒声に、航太は眠りの世界からひとっ飛びで帰ってきた。
「ふぁい?!」
間抜けな返事をしながら飛び起きる航太に、教室が静かな笑いに包まれる。
反対に、教師は、険しい表情をピクリとも変えずに、航太を見下ろしている。
「全く。中だるみしてるんじゃないのか? え?」
「ごめんなさい…‥」
「担任に言っとくからな」
止まない笑い声に顔を赤くしながら、ふと、隣をみると、環もこちらをみて可笑しそうに笑っていた。
航太がみているのに気がつくと、クチパクで『ばーか』と言う。
ーばかじゃねーし!
航太は心の中で反抗しながら、授業に戻った。
