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スキをちょうだい。

第2章 こうかい


 中学生。

 性に興味を持ち始める頃。

 おそらく人生の中で、最高にバカでアホで多感な時期だろう。

 自分も、もちろん例外じゃなくて。

 他人の、服や下着で隠れたところが、妙に気になって仕方なかった。

 あとはーーそう。

 みんな、どうやって『発散』してるのかな、とか。

 なぜ、興味を持ったのが女の裸ではないのかというと、単純に男子が異常に多い中学校だったというのと、一番、気になる存在が『男』だったからというのもある。むしろ、後者しかなかった。

ーみせてよ。

 ふざけたふりをして言うと、君はすんなり頷いた。

ーでも、航太もみせてね。

ーわかった。

 軽い掛け合いから始まった『見せ合いっこ』は、二年の終わりまで続いた。

 やがてオレは、『そこ』は、こするから硬くなるんじゃなくて、興奮するから硬くなるんだということに気づき、更に、こするから興奮するのではなく、君が気持ちよさそうに喘ぐ声に、表情に、興奮しているのだということを理解する。

 それから三年になって、もう自分じゃ我慢しきれなくなった。

 見ているだけじゃ、嫌になった。

 オレに触って。
 オレが触って。
 感じてほしくなった。

ーなぁ、環。

ーん?

ーせ、セックス、してみない?

 一世一代の大勝負に出たオレに、君はまた、すんなり頷いた。

ーでも、航太は下ね。

ーえ?

 それから高校一年になるまで、関係は続いた。
 幸せだった。
 君がオレだけを見てくれる。
 触ってくれる。
 愛してくれる。
 男同士だからなんだ。
 オレはこんなにも君が好きなんだ!

 だけど、幸せは続かなかった。
 あの『運命の日』がやってきてしまったから。

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