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Gentle rain

第7章 心と体

「階堂。ここからが、本題だ。」

太我のその一言で、俺は太我の傍にあるソファに、腰を降ろした。

「森川社長のお嬢様が、以前交際していた男を知っているか?」

「ああ。三科紘文という奴に聞いた。」

「三科!?あいつから聞いたのか?」

「偶然な。奴の、死んだ兄貴だそうじゃないか。」

太我は、俺の口から出た言葉に、しばらく黙ってしまった。

「どこまで聞いた?」

「兄貴は菜摘さんと付き合う前までは、何でもない普通のサラリーマンだったこと。菜摘さんと付き合ってからは、どんどん昇格していったが、仕事の失敗で左遷された。その時に菜摘さんに別れを告げられ、引越す前の日に、自殺したと。」

「そうか…そこまで知っているのか……」

普段忙しい毎日を送っている太我に、こんなことでまた精神的に悩ませるのはどうかと思ったが、太我はぐったりとしながらも、話を続けてくれた。

「三科は、太我の大学の時の同級生なんだろう?」

「ああ。」

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