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Gentle rain

第7章 心と体

「…森川社長のホームパーティーに呼ばれたことがあった。それは菜摘さんの誕生日会も含まれていた。だがプレゼントを持ってきたのは、俺一人だった。」

「あの時の……アロマキャンドル?」

「ああ。」

美雨が働いていた店で、美雨に選んでもらったあのキャンドルだ。

「もしかしたら、森川社長の策略かと思いながら、俺は菜摘さんにプレゼントを渡した。でもどこかで……菜摘さんに気に入って貰えれば、森川社長ともっと太いパイプができるかもしれないと、思ったのかもしれない。」


そうだ。

あの時の俺は、森川社長の目に止まっている事をいい事に、菜摘さんに言い寄っている男達とは、格が違うのだと勘違いしていたんだ。


「案の定、菜摘さんは俺に、手作りの料理を用意してくれていた。このタイミングに乗ればと思って、二人きりになって……彼女に誘われるがままに、キスを交わした。」


胸が痛んだ。

どうしても美雨の顔を見ることができなかった。

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