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Gentle rain

第7章 心と体

「どういう事だ?太我。」

俺と美雨はキッチンを出て、リビングにいる太我の傍に行った。

「階堂と森川社長のお嬢さんとの噂、思ったよりも周囲に広がっている。」

「えっ?」


いつの間に?


「階堂、森川社長のお嬢さんと何かなかったか?」

「何もないよ。」

「本当か?」

「ああ。」

即答出きるほど、俺の中にはやましい気持ちなんて、一度もない。

「些細な事でもいいんだ。」

「些細なことって……」


一瞬浮かんだのは、森川社長のパーティーでの、菜摘さんとのキスだった。

だが、美雨の前でそんな事を言ったら…


「美雨。席を外せ。」

「兄さん!」

「階堂にとっても、おまえにとっても、一番大事な事なんだよ!」

スッと俺の手を、美雨が握った。

「何を聞いても、私は敦弥さんを信じるわ。私も一緒に受け止める。」

そう言って俺を強い眼差しで、見つめた美雨。

そこには一点の曇りもなかった。

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