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Gentle rain

第7章 心と体

「どけよ、美雨。」

「嫌よ!」

そう言い放った美雨を押しのけて、太我は俺の胸倉を掴んで、立ち上がらせた。

「階堂。あんたは俺より一回り以上も年上だけれども、仲間とか同志とか、それ以上に親友だと思ってたんだ。それを!人の妹で遊びやがって!そんな奴だったのか!!!」

俺は胸にある太我の拳を、力づくで振り払った。

「遊んでなんかいないさ。本気だ。」

「はあ?」

「本気で美雨を愛している。」

その言葉に、太我は冷静になったのか、俺から手を離して一歩二歩下がると、またリビングへと戻って行った。

「敦弥さん。」

側に寄ってきた美雨を、そのまま強く抱きしめた。

「ごめん。心配かけた。」

「ううん…わたしこそ。疑ってごめんなさい。」

その様子を、遠くで見ていた太我が、また疲れたように椅子に身体を放り出して座った。

「おまえの気持ちはわかったよ、階堂。」

「太我……」

「だけど階堂。事態は思ったよりも難しくなるぞ。」

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