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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「そういえばママ、今日お仕事じゃないの?」


「今日は休みよ。カレンダーに印付けてあるじゃない。いつもは風香チェックしてるのに、最近上の空で見てなかったんでしょ」

「え……う、そ……」


話を変えるチャンスだと思ったのに、却って風向きが悪くなった予感がする。


そして案の定、私の自滅を清水が見逃すことはなかった――――。


「へぇ~。上の空ってなんでですかね?」

「色ボケよね~」

「ママッ!」


これ以上、清水のことを公認にされては堪らない。


「違うよ! 最近レポートとかあったから疲れてたんだよ!」


取り急ぎやるようなレポートは正直なかったけど、ここは嘘も方便で逃げ切りたい。

――――のに!


「え、図書館に一緒に行った時、レポートとかやってなかったよね?」


清水が方便を消し去ろうとするどころか、また余計なことをバラしてくる。


「あ、あの時は……やる気が出なくて……」

「ふぅん、手伝おうかレポート?」

「っ!」


こいつ――――完全に外堀を埋めにかかっているわね。
絶対にあんたの思い通りになんかさせやしないわよ!


「大丈夫~! もう終わったから~」


こう言っておけば、清水もこれ以上余計なことを出来ないでしょ!


ふっふ~ん、と勝ち誇った気分になったのも束の間――――。


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