テキストサイズ

ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

「ね! し、み、ず、くんっ!」


『いい加減にしてよ!』との念を込めて清水を睨み付けると、私の眼光を小虫でもたかったかのように軽く払い退けた上に――――

「恥ずかしがらなくてもいいよ、風香。お母様、信頼して頂けて光栄です、風香さんのことは大事にしますので」

「きゃぁぁぁ~! ありがとう、清水くん!」


――――バッチィィィンと、叩きのめしてきた!

「……っ」

こいつ――――本気だ。

本気で、何か企んでいるわね!

なに、私のローストビーフだけじゃ飽き足らず、我が家の財産を狙おうっていうの?

我家は普通のサラリーマン家庭よ!

資産家でもないし、上級国民でもないわ!


いよいよ我家に危険が及びそうになっているのに、ママは相変わらず勘違いしたまま胸をときめかせている。


こんな風に直ぐに流されるから、パパの思うツボになったんじゃないの!

でもまぁ、パパとママが居なければ私は産まれていなかった訳だから、パパはグッジョブだけど――――って、そんなこと考えている場合じゃなぁ~い!


――――ん、てか何でママが今居るの?


怒りが頂点に達した途端、急に頭が冷静さを取り戻す。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ