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「ち、違うのママ！　こないだのは決してデートとかじゃなくてね！」

「あら、ふふふふ。そう清水君と『デート』だったの～」

「え……」


慌てて言い訳しようとしたけど、却って『デート』を肯定してしまった。


でも実質、表向きだけの名ばかりデートで、両想い通しのラブラブなものじゃない。


これはやっぱり誤解を解かねば、パパにも勘違いされてしまう。


「本当に違うの。これにはマリアナ海溝より深い訳があってね……」

「やだ～風香ったら。マリアナ海溝より深い理由なんて早々ないわよ～。それよりデート、楽しかった？」


ちょっとママ――――！
突っ込むところ『マリアナ海溝』なの！？

パパはど天然だけど、感化されたのかママも時たま思いっきり変だよね！


言いわけを聞いて貰えずサラッと流されてしまい、愕然としている私の様子に清水は口端を上げ、肩を小刻みに揺らしていた。


その清水の姿を見て、全身が敗北感に包まれていく――――。


く、悔しいぃぃぃ～。
何から何まで、清水の思惑に嵌められてしまう。


このままだと本当に、『ローストビーフ』へまっしぐらじゃないの！


恋愛経験値がゼロに等しい私は、迫りくるローストビーフのことを考えると恐ろしくて堪られなかった。